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この連載は、2026年7月のMicrosoft 365値上げをきっかけに、中小企業が「Excelでやっている仕事」を仕分けして、人数課金に振り回されない環境を作るまでを書いた記録です(全3回)。最終回のvol.3は、「エクセルで顧客管理」がどこから限界になるのかを整理し、脱Excelの選択肢を費用で比べたうえで、顧客管理システムと社内オフィス環境を定額でまとめて持つ方法を書きます。
こんな方向けの記事
- 顧客リストをExcelやスプレッドシートで管理していて、「そろそろ限界かも」と感じている経営者・営業責任者の方
- SaaSの顧客管理ツールを検討したが、人数課金の見積もりを見て止まった方
- Microsoft 365の値上げを機に、Officeのライセンス数を減らしたい方
- この連載を読んで「うちでもできる?」と思った方
「エクセルで顧客管理」は、どこまでいけるか
先に正直なところを書きます。顧客が100件以下で、触る人が1人なら、Excelで十分です。無料のテンプレートに入力規則とフィルターを付ければ、検索も並べ替えもできます。システムを入れる必要はありません。
問題は、会社が少し育ったときに起きます。触る人が2人になり、顧客が数百件になり、「前回どんな話をしたか」を残したくなり、見積書と紐づけたくなる。このあたりから、Excelは急に手に負えなくなります。
限界のサイン7つ
相談を受けた会社で共通していた「限界のサイン」を7つ挙げます。3つ以上当てはまるなら、Excelを続けるコストのほうが高くなっている可能性があります。
- 同時に開けない・上書きされる — 「誰かが開いています」で待たされる。共有ブックにしたら壊れた。クラウドに置いたら変更がぶつかった
- 最新版がどれかわからない — 「顧客リスト_最新.xlsx」「顧客リスト_最新(2).xlsx」「顧客リスト_田中修正.xlsx」が並んでいる
- 対応履歴が残らない — 前回の電話の内容、見積の経緯、クレームの対応が担当者の頭の中かメールの中にしかない
- 検索・絞り込みが手作業 — 「去年見積を出して失注した建設業の顧客」を出すのに、フィルターを3回かけて目視
- 見積書・請求書と紐づいていない — 顧客情報をコピーして雛形に貼る。見積書の保存場所がバラバラ
- 担当者が辞めると止まる — マクロや関数を組んだ人、ファイルの場所を知っている人が辞めた
- スマホで見られない — 外出先で顧客の電話番号を確認するために事務所に電話している
これらは全部、Excelが悪いのではなく、「台帳」を表計算ソフトでやっていることから来ています。vol.1で書いた3つの仕分けの③です。互換ソフトに替えても、高性能なExcelに上げても、1つも解決しません。

脱Excelの3つの選択肢と費用
台帳を表計算から出す方法は、大きく3つあります。
1. SaaS型の顧客管理ツール(CRM)を契約する
導入が早く、機能も豊富です。ただし料金はほぼすべてユーザー数課金で、月1,500〜5,000円/人あたりが一般的な価格帯です。10名で使うと年間18〜60万円。しかも「営業だけ」のつもりが、事務も現場も見たくなって人数が増えるのがこの手のツールの常です。Microsoft 365の値上げで人数課金から離れたい会社が、別の人数課金に乗り換える構図になります。自社の業務に合わせた項目や帳票は、上位プランか追加費用になることが多いです。
2. 自作する(ノーコード・スプレッドシート連携)
小さく始めるには良い方法です。ただ、相談を受ける会社の多くは「作れる人がいない」か「作った人が辞めて止まった」状態で来られます。ノーコードツールも結局はユーザー数課金か、無料枠を超えると一気に高くなるものが多いです。
3. 定額で作ってもらい、育てていく(KIZUKI)
私が提供しているのはこの形です。初期費用0円、月額定額で、人数が増えても料金が増えません。顧客管理だけでなく、案件管理・対応履歴・見積書の生成・スマホ対応まで、その会社の業務に合わせた「自社専用のシステム」として作り、毎月の改善依頼も定額の中で対応します。サーバー代・ドメイン代・保守費込みです。
KIZUKIで作る顧客管理と、社内オフィス環境オプション
この連載のvol.2で作ったものが、そのまま標準の形です。
- 顧客管理システム — 顧客・案件・対応履歴・担当者。検索・絞り込み・スマホ対応。Excelからのデータ移行込み
- 見積書・請求書の生成 — 顧客カルテから顧客情報入りの見積書を生成し、顧客に紐づけて版管理
- 社内オフィス環境オプション — 生成した見積書をブラウザでそのまま編集・共同編集できる環境(OnlyOffice Docs)を追加。Excel形式のまま保存されるので取引先にはそのまま送れる

料金
KIZUKIの月額プランは、月の開発量(AIの稼働時間の目安)で3段階です(税抜)。
| プラン | 月額 | 目安 |
|---|---|---|
| Mini | 29,800円 | 月8時間相当の開発・最大4画面。まず顧客管理だけ、という入口 |
| Standard | 89,800円 | 月30時間相当・画面数無制限・API連携。顧客管理+見積・請求まで |
| Pro | 129,800円 | 月50時間相当・優先対応。複数業務をまとめて |
いずれも初期費用0円、サーバー・ドメイン・保守込み。追加のご依頼がない月が2ヶ月続くと、自動で月15,000円引きの保守料金に移行します(使わない分まで払い続ける必要はありません)。先着3社の特別価格と地域割引(川越市・日高市・狭山市)はKIZUKIのページをご覧ください。
社内オフィス環境オプション:共用サーバー型は月額9,800円(税抜)。人数が何人になっても定額で、文書データは御社のシステム側に保存されます。御社名義サーバーで運用する設置代行型は初期55,000円(税抜)で、月々の保守はKIZUKI本体の月額に含めます(サーバー実費のみ御社負担)。提供形態は次の2つから選べます。
2つの提供形態
- 共用サーバー型 — anTechが運用するサーバーに環境を用意します。最も手軽で、追加費用も小さい形。文書の実体は御社のシステム側に保存されます
- 御社名義サーバーの設置代行型 — 御社名義で契約したVPSに環境を構築し、保守をanTechが代行します。データもサーバーも御社の資産になり、解約時はサーバーごとお返しできます。士業・医療介護・製造(図面)など、機密性の高い業種向け
どちらも、オフィスを使う人数が増えても料金は変わりません(人数課金なし)。
費用を比べる — 10名の会社の例
Business Standardを10名で使っていて、顧客管理も入れたい会社を例にします。Aがいまの構成の延長(人数課金を続ける場合)、Bが台帳をKIZUKIに移した場合です。
ここで大事なのは、合計金額そのものより、いちばん下の「11人目が増えたら」の行です。人を採用しても料金が増えない。これが「人数課金から降りる」ということです。なお、KIZUKIはOfficeの全機能の代替ではありません。Excelで集計や分析をしている人(②計算・分析の人)の分は、Microsoft 365を残してください(残す人数分の費用は、上のBの合計には含めていません)。
導入の流れ
- 現状ファイルの診断(無料)— 今のExcelを見せていただき、①②③に仕分けします。「システムにすべきもの」と「Excelに残すもの」を一緒に決めます
- デモで確認 — 初月で動くデモをお見せします。プラン内容にご納得いただけたらご契約です
- 並行運用 — Excelのデータを移行し、しばらくExcelとシステムを並行で使います。この期間に画面や項目を現場に合わせて直します
- 切替 — 現場が「もうExcelに戻りたくない」と言ったら切替です。言わないうちは切り替えません
顧客管理システムが要らない会社・オフィス移行が向かない会社
正直に書きます。
顧客管理システムが要らない会社
- 顧客が100件以下で、触る人が1人
- 顧客との関係が「一回きり」で、履歴を残す意味が薄い(小売・飲食の一部)
- すでにSaaSのCRMが定着していて、人数課金に不満がない
オフィス環境の移行が向かない会社
- VBAマクロ・Access・Power Queryで業務が回っている — ブラウザ版のOffice互換エディタではVBAマクロは動きません
- Teams・SharePointを中心に仕事が回っている
- 縦書き・ルビなど日本語特有の書式を多用する — vol.2の「実装で詰まった点」で実測したとおり、縦書きは横書き表示になります
上記に当てはまる会社には、無理にお勧めしません。ご相談いただければ「今のままでいいと思います」とお伝えします。
データの所在と責任の分け方
業務システムを外部に任せるときに一番確認してほしいのは、機能ではなく「データがどこにあり、何かあったら誰が責任を持つか」です。KIZUKIでは次のようにしています。
- データは国内のサーバーに置き、日次でバックアップします
- 御社名義サーバーの設置代行型なら、サーバーもデータも御社の資産です。解約時はサーバーごとお返しします
- 共用サーバー型でも、データは御社単位で分離し、解約時には全データをお渡しします
- 責任の範囲(バックアップの保持期間・障害時の対応・復旧の目標時間)は、契約前に文書でお渡しします
顧客管理についてよくある質問
「顧客管理 エクセル」まわりで実際によく調べられている疑問に、この記事の内容を踏まえてお答えします(質問をタップすると答えが開きます)。
顧客管理にExcelを使うデメリットは何ですか?
複数人で同時に編集できない、最新版がわからなくなる、対応履歴が残らない、検索・絞り込みが手作業、見積書と紐づかない、担当者が辞めると止まる、スマホで見られない、の7つです。これらはExcelの性能の問題ではなく、台帳を表計算ソフトで管理していることから来るので、互換ソフトや上位版に替えても解決しません。
Excel以外で顧客管理をするなら、何がおすすめですか?
人数が少なく予算を抑えたいならSaaS型CRMの無料枠、作れる人がいるならノーコードでの自作、人数課金を避けて自社の業務に合わせたいなら定額開発(KIZUKIなど)です。どれを選ぶにしても、まず「Excelで何をしているか」を仕分けして、システムにすべき部分だけを移すのが失敗しないコツです。
顧客管理システムの月額費用はいくらぐらいかかりますか?
SaaS型のCRMは1ユーザーあたり月1,500〜5,000円が一般的な価格帯で、10名で使うと月15,000〜50,000円(年間18〜60万円)になります。人数課金ではない定額開発型もあり、KIZUKIの場合は月額29,800円(税抜)からで、人数が増えても料金は変わりません。この記事の「費用を比べる」で10名の会社の例を比較しています。
顧客管理システムは自作できますか?
できます。この連載のvol.2では、PHPで作った顧客管理システムにブラウザ版のオフィス環境をつなぐ実装を公開しています。ただし作った人が辞めると止まるリスクがあるので、社内に引き継げる体制があるか、外部に保守を頼める先があるかを先に考えてください。
エクセルからGoogleスプレッドシートに移せば解決しますか?
「同時に開けない」「最新版がどれかわからない」の2つはスプレッドシートで解決します。ただし、対応履歴が残らない・見積書と紐づかない・検索と絞り込みが手作業・担当者が辞めると止まる、といった残りの問題はそのまま持ち越します。台帳の問題は表計算ソフトを替えても解決しないので、当てはまる場合は業務システムへの移行を検討してください。
無料のExcel顧客管理テンプレートで十分ではないですか?
顧客が100件以下で触る人が1人なら十分です。無料テンプレートに入力規則とフィルターを付ければ検索も並べ替えもできます。2人以上で触る、履歴を残したい、見積書と紐づけたい、となった時点がシステムを検討する目安です。
今のExcelのデータは移行できますか?
できます。顧客リストの列をシステムの項目に対応づけて取り込みます。表記ゆれ(株式会社の有無、全角半角)の整理もこの時に行います。KIZUKIではデータ移行を月額に含めて対応しています。
連載のまとめ
全3回、お読みいただきありがとうございました。この連載で書いたことを一枚にまとめると、「値上げをきっかけに、Excelの仕事を①文書づくり・②計算分析・③台帳に仕分けし、①は互換ソフトへ、③は業務システムへ、②だけExcelに残す」です。
「③台帳」の仕事が、まだExcelに残っている会社へ
顧客・案件・対応履歴のような台帳は、表計算ソフトを替えても楽になりません。anTechでは、初期費用0円・月額定額で業務システム(顧客管理など)を作り、必要に応じて社内オフィス環境もセットでご用意する「KIZUKI」を提供しています。
まずは相談だけでも
「うちのExcel、どこまでシステムにすべき?」「値上げ分をどう吸収する?」といった相談からで大丈夫です。現状ファイルの診断は無料、Excelからのデータ移行もご協力いたします。